亀の歩みで信じる道を~168号 2018.11

すや亀では、味噌、みそ加工品等、自社で製造するすべての品に添加物を用いておりません。お客様が芯から安心して召し上がっていただける製品、素材本来の旨味を実感していただける製品だけを世に送り出したいと願うからです。また同時に、店主を始め社員・パートさんを含め、津店で働く全員が、誇りと喜びを胸に製造販売に携わっていきたいと考えるからです。

昭和40年代まではみそ煮保存料としてソルビン酸を使っておりました。それを徐々にアルコール(酒精)に代え、平成10年頃には炭酸ガスを逃がすリブを容器に採用することにより、アルコールも用いなくなりました(一部に使用)。

漬物は、店主の母親が漬けてくれた家庭の漬物を基本に商品化しました。そもそも我が家で着色料やアミノ酸等の旨味調味料を使ったことがなかったこともあり、添加物は最初から不使用でした。発売当初は色が悪い、日持ちがしない、旨味が足りないといったご意見もありましたが、初心を曲げず今日に至っています。

化学調味料を使用しないものを食べると、素材そのものの持ち味がよくわかり、後味もすっきりします。一方、化学調味料(アミノ酸など)やたんぱく加水分解物、酵母エキス等の人工的な旨味調味料は旨味が強く、味覚障害を起こす恐れがあります。特にたん白加水分解物、酵母エキスはアミノ酸と同様、塩酸等で反応させて旨味成分を取り出すため、「食品」として扱われること自体に疑問を感じます。「こだわり」とは本来「細かいことにやかましい」という、どちらかというとネガティブな意味合いの言葉だそうですが、安全、安心な良い品を製造販売し続けることに、当店はあえて「こだわり」たいと考えます。その思いを社の全員と共有できること、そしてお客様にも喜んでいただけることを、店主として何よりうれしく思います。

この思いは、平成10年に「良い食品づくりの会」に入会し、良い食品をつくるための徹底した理念を仲間とともに学ぶことで一層深く、強くなりました。それが商品に磨きをかけることにもつながりました。

現在、長期保存を前提とする商品や製造委託の一部商品には、食品衛生法上の規定や製造ロットの事情から保存料としてのビタミンCを添加せざるを得ないという実情があります。しかし研究を進め、無添加で製造やパッケージを行えるものへと順次切り替えを図っています。それは文字通り「亀の歩み」かもしれません。けれど、それを貫くことがすや亀の存在意義と信じ、これからも歩みを止めることなく前進してまいります。

2018.11 信州香味だより168号より

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